会社の同僚に「アジャイルやスクラムの本を貸して」と言われて、
「『アジャイルサムライ』と『SCRUM BOOT CAMP』がおすすめなので。今度持ってきます。」と答えたものの、
実は『SCRUM BOOT CAMP THE BOOK』は未読だった。さすがにまずいのでちゃんと読んだよ。以下、感想。
基礎編と実践編の2部構成となっているが、メインは実践編。
はじめてスクラムをやることになったチームが、プロジェクトを進めながらさまざまな局面で起こる「こんなときはどうしたらいいんだろう」にストーリー仕立てで答えていく形になっている。
単にスクラムのやり方だけでなく、目的や、背景にある理由や考え方もていねいに説明してくれている、『濃厚な』一冊だ。
マンガのストーリーは、読み手の疑似体験になり、あるいは、勉強会で聞かせてもらえる、とあるプロジェクトの事例のようにも思える。
本文の文体も、マンガにあわせた親しみやすい雰囲気で、全体を通じて統一感があり読みやすい本だ。
また、文章は、無駄で冗長なところも、説明不足でわかりにくいところも感じることもなく、非常に伝わりやすい。おそらく著者の方々は言葉選びや文体に相当気を使って書かれたと思う。
こんなかんじで、ストレートで伝わってくる内容だ。こんなことをきちんと言葉にしてくれているのが本当にうれしい。この本のすばらしいところだと思う。
誰かが困っていたら、ほかの人が助けるんだ。(...)どんな状況でもすぐに相談できて、それが良くない状況ならすぐに協力して乗り越えていく。これが良いチームの正体だ。
ちょっとした努力は必要になるけれど、今まで知らなかったことを体験しながら学んでいける。それをくりかえしながら、スクラムチームは成長していく。(...)
私たちは、Scrum の本質は、こうした学びの仕組みだと考えている。そしてこれが、私たちが Scrum を好きな理由だ。
私も BOOT CAMP 出身者だ。こうしたコミュニティの勉強会や、そこに集うみなさんからは、とても多くのことを学ばせていただいた。
この本は、そういったコミュニティをつくり支えてきた人たちの想いがいっぱいつまった本だと思った。
P.S.(オマケみたいに)最後に付いている「ボクくんが気づいた大切なこと」というインデックスがいい。
こまったときや、大事なことだけをサッと辞書代わりに引くには、ここを見るのもいいかも。